大判例

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東京高等裁判所 昭和47年(ネ)2898号・昭45年(ネ)2617号 判決

二、控訴人は本件訴訟の当初において、右転貸にかかる土地の範囲は原判決別紙目録(一)の部分、即ち、原判決別紙図面イ、ロ、ヘ、ホ、イの各点を順次直結した範囲内の部分であると主張し、被控訴人においてこの事実を認めた後にいたり、右転貸を約した土地の範囲は、同図面中チ、ロ、ヘ、ト、チの各点を順次直結した部分であると主張を訂正した。被控訴人は右主張の訂正は、いわゆる先行的自白の撤回にあたるから異議があると主張する。そこで考えるのに、本訴の請求の原因は、土地の転貸人である控訴人が、転借人である被控訴人に対し、転貸借契約の終了に基づく原状回復義務の履行として建物の収去と土地の明渡を求めるものであるから、転貸借契約の成立については、その立証責任は被控訴人側にではなく、控訴人側にあるものと解するのが相当であり、この限りにおいては、転貸土地の範囲については、控訴人側に自白の成立する余地はないかの如くである。しかし、控訴人は、更に、予備的主張として、被控訴人が約定の転貸の土地の範囲をこえて、それよりも広く土地を使用しているとの事実を挙げ、これをもって契約違反の事実として指摘しようとしているのであって、この点からすれば従来主張し、相手方においてこれを認めていた約定の転貸の範囲を、改めて狭い範囲に主張を変えることは、先行的自白の撤回にあたるものと解することができる。そうであるとすれば、右自白の撤回に異議のある以上、右自白が真実に反し、かつ、錯誤に基くものであるか否かを判断する必要がある。しかるに、被控訴人は、右異議は時機に後れた防禦方法であると主張するので、この点を判断する。記録によれば、控訴人が本件自白の撤回の準備書面を原審裁判所に提出したのは昭和四五年四月三日であり(記録六四丁)この準備書面の副本は被控訴人に直送されたので、被控訴人には同月上旬中に到達したと推定することができ、それが法廷で陳述されたのは同年五月二九日の原審の口頭弁論期日である。これに対して被控訴人が異議を述べたのは、昭和四七年一二月一一日付(同月一四日送達)の附帯控訴状の理由中においてである。なお、右附帯控訴状は昭和四八年四月三日に陳述されている。従って、被控訴人は控訴人の自白の撤回に対する異議を二年半余りの後に至ってはじめて申し立てたものである。

右のような次第であるから、本件異議は重大な過失によって時機に後れたものというほかはなく、却下を免れない。

(浅賀 小木曾 深田)

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